エンディングノートとは
エンディングノートとは、遺されるご家族のため、ご自身の意思がはっきりしているお元気なうちに生前や死後の希望を伝えるノートのことをいいます。書き残しといたほうがいい内容の他、さまざまなことを自由に書いて構いません。
縁起が悪いと「死」を語ることを日本では日常から避けてしまいがちです。だからこそ、もしもの時に自分自身のため大切な人たちのために、メッセージを残しておきましょう。
ご自身の終末期や死後にこうしてほしいなど希望を伝えられずに逝ってしまうと、遺されたご家族たちは意思がわかならいまま葬儀を行い終わった後で「これでよかったのか?」と思い悩むかもしれません。ご家族や周りの方は悲しみに浸る間もなく葬儀の段取り・役所への届出や死後の整理など、やらなければいけないことがたくさんあります。
悩み戸惑うことがないよう、大きな混乱が起きぬよう、死後の希望を記しておきましょう。たとえばお墓を建てずに散骨してほしいやお葬式を新しい形式の無宗教葬を希望するなど、ご家族はそれを理解していても遠い親族が反対する可能性があります。そこにエンディングノートがあれば、ご本人の意思が明記されているので、周りの人たちも理解できるのではないでしょうか。
よってエンディングノートは遺産相続トラブルの予防になり、遺言書のように法的な拘束力はありませんが、本人の遺志を明確に伝えるという点で、ご家族や親族間に困りごとが発生した際に大きな効力を発揮します。
どんな方にもエンディングノートがおすすめ
はじめに、エンディングノートは高齢者になってからとお考えの方も多いかもしれませんが、もしもの時は突然やってきます。どんな方にも死は必ず訪れます。ならば自分の意思はっきりしている時に、記しておきましょう。
遺言書ですと、資産の分配についての内容がほとんどで、さらにご自身がお亡くなりになった後に開封されるので、生前の希望は叶えられません。ひとつひとつ書き残しておけば、その時になってご家族が慌てずにすみます。突然だと何をしたらいいのかわからなくなるものですが、生活に関わる些細なことをエンディングノートに記すことで、終末期や死後のご家族の負担を軽減してくれます。
延命治療の希望や尊厳死など、どんな医療を受けたいのかをご自身で意思表示することは大切です。意思表示によっては最新治療を受け病院で過ごすのか、また自宅での療養を選択するのかで、ご家族の対応も大きく変わります。病気や事故で意識がない状態になったり、認知症で気持ちが伝わりづらくなってからでは、残念ですが遅いのです。最後の意思が伝わらないとご家族や周りが葬儀などを勝手決めてしまうしかありません。
ご自分の終末期や死後に家族にこうしてほしいという希望を記しておきましょう。お葬式のこと以外にも、臨終に立ち会ってほしい人、お通夜やお葬式に呼んでほしい人、亡くなったことだけを知らせてほしい人など、連絡先や住所録を作成しておけば、その時がきても迷ったり困ったりせずにすみます。死後にしか内容を確認できない遺言書と違って、生前の希望など書き伝えていけるのがエンディングノートとなります。
あなた自身が伝えておかなければ、ご家族や周りの人たちは把握できないまま、大事な財産にかかわらず受け取ることができなくなる可能性もあります。たとえば生命保険の請求には時効(保険法上)があり、死亡後3年間に請求がなければ無効となるかもしれないのです。
エンディングノートを書くことは、人生を自分らしく生きるための意思表示でもあります。自分の人生を振り返ること自分の死後のことを整理することは、これからの人生の方向が明確になります。さらに「死」というものに真剣に向き合うことで心の準備にも繋がります。生きているという素晴らしさに日々気づくことができることでしょう。
エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートと遺言書のどちらかを選んで作ろうとはせず、それぞれに役割がありますので、特長の違いを理解し作成していきましょう。
エンディングノート | 遺言書 | |
法的効力 | なし | あり ※信頼性がある場合のみ |
書き方 | 自由 | 法律で定められている書き方でないと無効になる場合があるので注意が必要 |
伝えたい内容 | 延命治療の考え方 葬儀のこと 趣味の物や引き継ぐ ことなど | 財産分与など |
費用 | 百円程度~ | 自筆証書遺言 数百円~ 公正証書遺言 数万円~ |
エンディングノートと遺言書の決定的な違いは、法定効力があるかどうかにあります。遺言書には法的効力があり、財産をどうするか、誰に何を遺すのかの内容が自分の死後にその効力を発揮します。またエンディングノートに資産の配分や法定相続人以外への遺贈のことなど、いくら細かく書き遺したとしても法的に全く効力がありません。
ただし、エンディングノートには法的効力がない反面、自分の考えや希望を規定にとらわれることなく自由に書きことができます。思いを伝えられるエンディングノートで自分の意志がはっきりしなくなった時に、とても大きな意味あります。さらに死後にしか確認することができない遺言書とは違って、生前に家族と話をしながら書き伝えることができる特徴があります。
エンディングノートは、遺言書に書ききれない情報を残すために活用しましょう。法的な効力はないですが、自分の意志を伝えることができなくなった時に「思いを伝える」ことができる、とても大切な役割を果たしてくれるノート、それがエンディングノートといえるでしょう。
エンディングノートの作成
個人が自由に作成するもので、自分自身のことやいろんな思いなど何を書いてもいいノートです。決まった形式はありませんので、大学ノートに好きに書き始めても構いません。しかし、何を書いてもいいと聞いて書き始めるのは意外と難しいものです。
そこで既に出版されているエンディングノートを購入して書き込んでいくのもいいでしょう。またパソコンを使ってWordやExcelなどで作成する方法もあります。当事務所のホームページからダウンロードしていただくこともできます。ご活用ください。
~作成のポイント~
・必要に応じて、更新することをお勧めいたします。
簡単で便利であるけれどペンが止まってしまった場合、定期的に書き足していきましょう。そして、一度書いて終わりではなく、時々見返しましょう。
・エンディングノートの所在は、ご家族にお伝えしたほうがよいでしょう。
お伝えすることによって、もしもの時にご家族が速やかに対応することができるからです。
・2冊に分けて作成するのもいいでしょう。
まずは、必ず書き留めておいたほうがよい内容から始めると書き出しやすいです。財産管理や遺産相続に関わること延命治療や葬儀などの終末期の希望を書き留め、それ以外のことをもう1冊のノートへ、親族へのメッセージなど遺された人に見てもらう内容にします。
・ボールペンで書くのが望ましいです。
勝手に書き換えられないように訂正を入れる時は二重線で消して、いつの意思表示のものかわかるように日付も記入しておきましょう。また、エンディングノートには死後の希望事項だけでなく、自分の歴史や家族との思い出、感謝の気持ちなどを綴っておくことも大事です。
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